前回に引き続き、PENTAX DA17-70mm F4 のお話となります。
コッチのblogは年内これでアップかもしれません。

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PENTAX Q-S1 1/10s F6.3 F4:5.4 mm(25 mm) ISO800


K-S1にDA17-70mmをセットした状態はこんな感じ。バランスいい上に緑ラインがいいんですよね。

装着感は少し大きめで、重さは485g。重めですが、500オーバーしていないので許容範囲です。

細かなところを箇条書きメモ。

・QSFのリングが緩め
・広角で若干歪曲
・F4なのに暗め
・溶け系のボケが出やすい
・解像感はあまり感じられない
・画角は結構使いやすい
・近接物撮影が良い

KS1P3429
PENTAX K-S1 1/800s F8.0 DA17-70mm F4:25.0 mm(37 mm) ISO200

逆光はこんな感じです。

このレンズは不思議な感じがします。
F4通しということで、明るめを期待してみると、意外に暗い。
しかし手前に何かを置いて後ボケを期待する写真は「この上なく気持ちいい」。

KS1P3431
PENTAX K-S1 1/160s F4.5 DA17-70mm F4:70.0 mm(105 mm) ISO100

光の量が確保できる時間帯までは感じる力が弱いのか、F4通しのくせして5.6のレンズとかより暗い感じがし、シルエット化しやすいんです。しかも補正すると明るめの色が飛ぶ。


逆に光を確保できるようになると色乗り、ボケ具合ともに素晴らしい。

KS1P3579
PENTAX K-S1 1/5s F22.0 DA17-70mm F4:28.0 mm(42 mm) ISO800

暗いシーンでも光のアクセントがあれば、それはそれで「この上なく気持ちいい」。

それは屋内でも屋外でも同じ。

KS1P3434
PENTAX K-S1 1/60s F16.0 DA17-70mm F4:63.0 mm(94 mm) ISO320

KS1P3412
PENTAX K-S1 1/125s F5.0 DA17-70mm F4:70.0 mm(105 mm) ISO100

また、光の量が確保できるような時間帯になると2色の色抽出にも耐えられるほど色乗りが良い。

KS1P3640
PENTAX K-S1 1/160s F6.3 DA17-70mm F4:23.0 mm(34 mm) ISO100

今回、紅葉を黄色と赤の色抽出をしてみましたが、とても綺麗に抜けています。むしろ中途半端な露出補正で青空が薄れるより全然魅力的になるというか。

KS1P3615
PENTAX K-S1 1/1000s F5.6 DA17-70mm F4:70.0 mm(105 mm) ISO100

最近ハマリの「縦持ちアンダーニーショット(ファインダーも液晶も見ず)」では、なんと非常に相性が良い。
このカメラを下にぶら下げて撮るひざ下の地面を這うようなショットでも、黄色の出具合、影と陰の明暗バランス、前後のボケの出具合がとても綺麗に出ていて、「やるな、このレンズ」っていう感じになります。

KS1P3607
PENTAX K-S1 1/500s F5.0 DA17-70mm F4:70.0 mm(105 mm) ISO100

いやはや、これ、SIGMAの17-50mmF2.8より感性に訴えられる絵が得られやすくイイです。暗めのところが苦手だけど、ある程度調子に乗るとものすごくいい、っていうPENTAXのレギュラーレンズの特徴的な良さを代表しているかのようなレンズです。
人に例えるならソコソコの可愛さを持ってて、かつ非常に愛嬌が良い感じ。

灯りの確保さえしっかりしていれば、テーブルフォト(どこかに欠けを作るタイプ)にも相性が良い。

KS1P3658
PENTAX K-S1 1/125s F4.0 DA17-70mm F4:63.0 mm(94 mm) ISO500

しいて言えば、露出補正かHDR、または遅めのシャッタースピードか、ISOの持ち上げ下げが必須。Pやオートでは撮りにくいっていうのが難点でしょうか。この餃子のように何も考えないで撮るとわずかな油の感じは出るもののアンダー気味になります。

結論からいうと、ファインダーで見るタイプのミラー搭載カメラ(一眼レフ)向きではありません。

K-S1の話と併せてみます。

K-S1は、どちらかというと戦略失敗のカメラです。中途半端。それは同じエントリーでも2系統のエントリーが存在することに気が付かずに古い時代の売り方をしてしまったことです。

【対ガジェット好きのユーザー】をターゲットにするなら
  • スペックで見劣りするものはダメ、並列比較で、その対象はカメラ専門業界の品物だけではない
  • 新品価格でも飛びつきますが、その分妥協が嫌い。
  • 他にない魅力に価値を見出す(便利なUI、特殊な外観、自分流へのカスタマイズ機能)
  • 能力を優先しますので、取ってつけたようなショボいキットレンズは嫌い
  • レンズキットだったらHDDA20-40mm Limited&HDDA55-300mmのダブルズームキット一択
  • 結果を見られないことが嫌い(撮る時点での色明るさ再現確認できる液晶~EVFではなかったり、背面液晶を傾けられないのはキライ)
  • 静かな音を好む(シャッター音)
  • 色々なものを同時に持ち歩くので、単体はできるだけ軽いものを好む
  • 個性あふれていてセンスの良いカラー(ハイセンスでシックなカラー)

【対ちょっと良いカメラで○○風を味わいたいユーザー】をターゲットにするなら
  • 何よりも価格、それにそこそこの機能(K-S1の100%視野やキットレンズはOK)
  • プロっぽい外観、プロっぽいファインダー。重さや大きさはプロに似てるほど好まれる
  • 後からでも直せる安心の付属ソフト
  • 不要な操作の排除(iPhoneの指一本は究極の姿)、ほとんどAutoかPでの撮影、露出補正なんかもしない
  • ちょっと良いステップアップレンズの存在、講習や自習教材の存在
  • 周りの意見に左右されやすいので、音や外観は「まわりがダメというとダメ」と認識する
  • 分かりやすい色展開(派手な色の組み合わせ、ピンクや白基準の色)

この2つを中途半端に混ぜたため、「誰向けの製品?」ってなってしまっているんじゃないかと思います。同じエントリーでも、レンズに投資してくれるのはガジェット系。でも、その人たちは中途半端が嫌いなので、いきなりスターレンズを求めてきたりするはずです。
ところが、今のラインナップに万全のスターレンズはありますか?否。ざっとみて、DFA100と★50-135、後は200くらいでしょうか。唸るような標準域は単焦点のFA Limitedの31mmか77mmしかありません。

○○風を楽しみたいユーザーは、便利ズームを好みます。でも、プロっぽいことを聞きかじっていますので、F2.8やF4、大三元で揃えられなきゃいやー、暗いのは安くなきゃいやー、というはずです。
かろうじて、16-85mmや18-270mm、HDDA20-40mm Limitedのようなタマはありますが、魅力があって、便利な旅のお供のズームレンズが少ないと思います。

この中途半端なK-S1、なんにせよ、日本のカメラ業界は、カーナビやWalkmanと同じように見つめなおさなければいけない時期に来ていると思います。
安く良いものが老舗メーカー以外からも簡単に出てくる時代、老舗メーカーはiPhoneなみの研究をしてきたでしょうか。ソフトの代わりに補えるハードのラインナップを揃えてきたでしょうか。
トーンカーブやレベル補正をPhotoShopで「個人が後で見たときのイメージを思い出しながら直す」時代はもう終わりだと思います。
今は「今見えている世界をカメラ本体が自動で補正して記憶ではなくリアルに合わせて直す」時代です。
ミラーレスが受けているところは手軽さではなく、その場で色やホワイトバランス、微妙な露出補正や色調整ができるところではないでしょうか。

だから小さな窓ではない液晶が必要、または覗いているファインダーの世界でもEVFが望まれているのではないでしょうか。スマフォ連携もガジェット系は大きい画面でしっかり撮れているか見ながらとかカメラを置いて自撮りでも綺麗な構図にしたいって言う欲求と、○○風側は単にリモコン代わりで、次いでにスマフォに保存したい、でしょう。なぜなら、USBで接続してWi-Fiでスマフォに飛ばすWi-Fiストレージ「ポケドラ(WFS-SR01)」みたいなのを既に併用してると思われます。
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K-S1は、みんな中途半端。UIや削られた機能なんてアップデートで改善できるのにやらない。
もしくは容量不足でやれないのかもしれませんが、妥協した製品はガジェットおたくには認められないんです。
K-S1は3万になったら買うっていう声が掲示板とかでみかけられます。それはつまり、ガジェット系のターゲットではなく、そういう人たちに興味を持たれた、ということでしょう。
デモ、紹介ビデオではiPhoneのようなものを欲しがるターゲットとしていました。

たぶん、経営層が求めているエントリーと、開発現場が作りたいものにズレがあるんじゃないでしょうか。

K-S1は使えば便利で結構いいんです。数ヶ月使ってみて、かなり満足しています。Qでは撮れない絵が撮れてきてますし、画素数も色の出具合もレンズとの相性が良ければかなり良いです。だから、初値に近い価格で買った人はその分早く使えたわけで、その分多く良い絵が残ってるわけですから、全くもって後悔する必要もありませんし、私も後悔してません。嫌なのは欲しいベストなレンズが見つからないことと、高値で買った人を放置してる姿勢くらい(笑)機種関係なしに離れるよ、これ。手ブレ機種のonly one的なシンボル消えたし、過去の資産なければ今後メーカーの優位性がない。

個人的にはファインダーは使わないこと多いし、それでも色再現や解像度、デザイン、使い勝手みんな悪くない。まあ、強いて言えば、あくまでも個人の主観ですが、欲しいのはPENTAX QのKマウント版で、電池スタミナが異様にもつ軽いカメラなので、 K-S1は、似てるけど、今のままではちょっと違うかな。Qのようなお気に入り登録出来てすぐ呼び出せるクイックダイヤルが最後の砦かも。なんか書き方が結構グダクダですが、ようは今の延長でショボい戦略、時期を待たないと買いたくない戦略が重なってるまま続けていくなら、よっぽど素晴らしいQのようなKがでない限り、もう本体買い増しはないかな。 K-S1自体もこのままQのサブでいいかな、っと感じてます。GPSと良いレンズあると違うのかもしれませんし、誰もが思いつくようなKにクイックダイヤル付けただけのようなのがでてもSONYの方が良いよね。あ、そうか、α7ⅡをOEMしてデザインとUI変えてクイックダイヤル付いたやつならら欲しいかも。モチロン10万で。それならFA77mm limited が本来の画角になるし魅力ある。でもそれもあと1年以内だけ。そんなレベルやね、今の世の中。